2011年8月13日土曜日

ハッカーに狙われて終了。スタバカードの社会実験

昨晩お伝えした「Jonathan’s Card」が終了してしまいました。

Jonathan’s Card: Starbucks Shuts Down Social Experiment Over Fraud Concerns

直接の理由は、スターバックス社がJonathanのカードアカウントを停止したことですが、こうなるには次のいきさつがありました。

Sam Odioという男がプログラムを書き、お金をJonathan’sカードのアカウントから自分のアカウントへ移動し始めたのです。

Odio氏は、Jonathansカードは「ヤッピーがヤッピーへコーヒーを奢っているにすぎない」と一刀両断し、自分はJonathan’sカードから盗んだお金をネットオークションで換金し、本当のチャリティー組織へ寄付するつもりと述べました。(※ヤッピー:若い都会派プロフェッショナル)

もちろんそれは、Jonathan’sカードにチャージした人達の本意ではありません。
多くの人が不快感を表明しました。

でも、Jonathan本人は怒りや不満を表明したりOdio氏を訴追することなく、成り行きをただ見守ります。Odio氏を捕まえても、他の誰かが同様のプログラムを書けば、お金の流出は止まることはないと判断したのかもしれません。

スタバ社は(カードアカウントの共有はそもそも利用規約違反なのですが)ずっとJonathan氏の実験を非公式に応援していたそうです。でもチャージする人の本意が叶わないことが明らかになった時点で、Jonathan’sカードを有効にしておく理由がなくなったのでしょう。金曜日の夜にJonathan’sカードを停止します。

Jonathan’sカードの利用にはスマホが必要なので、現時点では、Odio氏の言うように「ヤッピーがヤッピーに…」という指摘は的を射ているのかもしれません。でもスマホの価格が下がり「誰でも」スマホを所有する未来では、話が違ってくるでしょう。
Jonathan’sカードはそんな日の訪れを待つことなく幕切れを迎えたわけです。

Jonathan氏はむしろ淡々と次のコメントをJonathan’sカードのサイトに残しています。

このすばらしい実験が次の段階へ変化を遂げる時が来ました。スターバックス社から2011年8月12日午後10時(米国東海岸時間)にカードを停止するとの連絡がありました。

今回の実験は更に大規模で熱烈な事態のはじめの一歩です。ここ5日ほどの間に、赤の他人のために、多くの人が小さな親切を行っているという実例が僕達のもとに寄せられました。ドライブスルーで隣の車のために料金を支払ってあげた。Sharing a pick me up with someone who has had a rough time(←訳せません)。空港で、赤の他人のテレホンカードにチャージしてあげた。小さな親切のリストは枚挙にいとまがありません。

今夜、(コーヒーを買うための)バーコードはなくなってしまいました。けれど、そんなモノははじめから必要なかったのです。

僕達の優しさシェアする場としてのFacebookページは残します。

Keep paying it forward everyone!
Jonathan & Erica

僕はJonathan’sカードのFacebookページにいいね!をしました。Jonathanが次に実験を仕掛けるときに見落とさないように。

イタリアの魂、アメリカへ渡る。

今日は、見ず知らずの人にスタバでコーヒーをおごる男の話を。

Starbucks Card Guy Solicits $8,700 in Coffees for Strangers

アメリカのスターバックスではスマホで支払いを済ませることが出来ます。
スマホにスタバアプリをインストールし、お金をチャージします。スマホの画面にバーコードが表示されるので、それをレジの読み取り装置にかざすと、キャッシュレスでコーヒーを買うことが出来てしまうのです。

この仕組みを使って「見ず知らずの人にコーヒーをおごってみよう」という人が現れました。彼の名前はJonathan Starkといいます。7月14日、ジョナサン氏は、自らのカードに300ドルをチャージし、そのバーコード画像をネット上で公開しはじめました。そう、バーコード画像を自分のスマホに保存すれば、誰でもコーヒーを買うことが出来てしまうわけです。

このプロジェクトの面白ところは、Jonathanだけでなく、誰でもこのカードにチャージすることが出来る点です。Jonathanはチャージ手順をネットで公開し「もしよかったらチャージしてね。よいカルマがつきますから」と呼びかけています。

するとこれまでに、回数で500回以上、金額で8700ドルがチャージされたそうです。Jonathan’s Cardのバランスはツイッターでツイートされるので一度のぞいてみてください。数分間観察するとチャージ金額が上下するのが目視確認できます。

一人で複数回チャージする人もいるでしょうから500人とは言いません。でも数百人はJonathanの呼びかけに応じ、見ず知らずの人にコーヒーを奢ったとみてよいでしょう。

でもこのカードにチャージする動機はなんなのでしょう?

アメリカ人はチャリティーが好きと言います。でもチャリティーには「困っている人を助ける」という大儀があります。Jonathanのカードの場合、受益者(コーヒーを飲む人)が誰だかわからないので一般的なチャリティーではないですよね。

Jonathanはこのプロジェクトをイタリアの風習「caffe’ pagato(支払い済みコーヒー)」に影響されて始めたようです。

イタリア南部のカフェでは、客は支払時に「 1 caffe’ pagato(一杯分余計に支払う)」とか「3 caffe’ pagati(三杯分余計に支払う) 」などと言うことが多々あるそうです。そしてカフェは、こうやって貯まった支払い済みエスプレッソを、お金のない客に振る舞うのに充てるのだと。

粋な習慣じゃないですかね。

「カフェでエスプレッソ」はイタリア人の生活の一部(と僕は理解しています。違ったらおしえて)。お金に余裕のないイタリア人もそれを体験できるとなると、社会の安定にも寄与しそうな気がします。

Jonathanのアイデアに反応した人数は数百人と、今はまだ、アメリカの人口と比べるとちっぽけな数です。今後この数が増えるのか、熱はすぐ冷めチャージする人はいなくなってしまうのか。今後しばらく、上記ツイッターアカウントを観察してみようと思います。 

2011年8月4日木曜日

泊まるなら職業人生をかけて

前回お伝えしたAirbnbの続報です。

Airbnbは8月1日(月)に安全性向上策を発表し、その二日後に追加策を発表しました。

その中で僕が注目したのはLinkedInとの連携。発表文はこう言います。

あなたのAirbnbアカウントは世界最大のビジネス用SNS(LinkedInのこと)と紐付け可能になりました。つまり、旅人も部屋主も、自らの職業人生がAirbnbサービス利用と紐付くことになります。

LinkedInとは米国では一般的になりつつある転職用SNSで、転職希望者が自らの職歴を披露するのに活用しています。これをAirbnbアカウント紐付ければ、悪行を働く者は、その後の職業人生で、悪評を背負うことになるので、抑止力として機能するはずという理屈です。
もちろん、全てのAirbnbユーザーがアカウントをLinkedInと紐付けるわけではないと思います。でもそんなユーザーは、他のユーザーから疑いの目を向けられ、Airbnbのコミュニティーからは排除されていくのでしょう。
前回の投稿の肝は「評判情報をもっと広い範囲で共有しよう」ということ。LinkedInアカウントとの紐付けは、この考えに沿った動きなのできっと上手くいくはずと思っております。
ただ「俺の人生生きる価値なし」と腹を決めてしまった「世捨て人」にとって、評判情報は抑止力にならないので、事故の確立をゼロにするのは無理と思いますが。
最後にもう一点。今回の被害者EJは事前に相手をどのくらいチェックしたのか知りたいのですが、僕が調べた範囲では分かりませんでした。危険な奴ということが事前に予測可能だったのに、それをチェックしなかったのならEJにも落ち度があると思うのですが。Airbnb社からEJに訊くことは難しいと思うので第三者調べてくれないかなあ。

「第二の野球」に出会ったら

もし、この世界に野球がなかったら。 その世界に生まれた人は野球というゲームを考えつくだろうか? No、なんじゃないかな。 ボクシングとかサッカーは、それがない世界に生まれても、考えつく可能性は高いと思う。「殴り合う」とか「ボールを蹴ってゴールに入れる」というのは直感的だから。けど...